CORIMA バトンホイールの落車破損修理
落車で破損したCORIMAのバトンホイールをお預かりしました。
破損箇所は二箇所。ハブ部分とスポーク部分に、それぞれ穴が空いています。
1. まずはハブまわりの損傷
ハブ部分は、アルミがえぐれて小さく穴が空いていました。
この時点では、見た目の傷だけでは判断できません。
このホイールの場合、ハブフランジ周辺はかなり薄いアルミで形成されていて、薄く、繊細。
回した時にどうか、歪みが無いかが、修理出来るか出来ないかの判断になります。
2. 何よりもフレが出ているかを確認
フレ取り台にかけてみると、運よく振れ、いわゆるフレは発生していませんでした。
ここで修理できる条件クリアとなります。
バトンホイールはかなり頑丈なので、見た目が結構ひどい状態でも修理できることがあります。
今回は、これまで見てきたものに比べれば軽症な部類。
十分に直せると判断しました。
逆に、どんなに軽症に見えても、フレが発生しているバトンホイールやディスクホイールは直せません。
内部のテンションを担うテンションカーボン層に損傷があると致命的で、どんなに外から手を入れても元の状態には戻りません。
別の個体ですが、このディスクは完全にテンションカーボンが破断しています。
この事例は露出しているので確認が容易でした。もちろん盛大にフレが出ています。
今回まず確認したかったのは、傷そのものよりもフレ。
フレ取り台にかけて回した時、ここで大きく振れていたら、その時点で修理の可否を判断できます。
3. スポーク部分のえぐれ
スポーク部分は、前走者のリアシャフトにヒットしたのか、カーボンが大きくえぐれていました。
中にはスポンジのようなものが入っているのが見えます。
なかなか激しいです。
ただ、キズの深さの割にフレが発生していません。
構造としては、まだ十分な強度を残していると判断しました。
今回は、一層巻きにすることにしました。
4. バランスを崩さないように補修する
強度を重視して、二層、三層巻きにする選択肢ももちろんあります。
ただし、その分だけ重くなります。
フレームならまだしも、今回はホイールです。
このスポークだけを不自然に重くしたくはありません。
回転体のバランスが崩れると、走行中のバイブレーション発生の原因にもなります。
直すことだけを考えるなら厚く巻けばいい。
でも、走る道具として戻すなら、重さのバランスも考えないといけません。
ここがホイール修理の面白くて、難しいところです。
5. いきなりですが、完成です
いきなりですが、完成です。
途中経過の写真も残しておくべきだった・・。
この時は、自分の修理した内容をブログに残すことになるとは思っていませんでした。
惜しいことをしました。
今後はしっかり残すようにします。
6. 包帯の様に巻かれたカーボン
カーボン地を活かしたデザインのパーツは、塗装で全部隠すことができません。
どうしても、修理箇所はカーボンの包帯みたいな見え方になります。
これはこれで、正直な修理跡です。
極力段差をなくすよう心がけますが、サフェイサーが使えませんので、塗装仕上げほど滑らかにすることもできません。
だがしかーし、極力頑張りました!
樹脂を塗り、削るを繰り返すこと5回。
中々の滑らかさを再現!
7. ハブ部分はメタルパテで整える
ハブのアルミ部分の損傷は、メタルパテを使い整形しました。
その後、サフ→シルバー→クリヤーを塗装し、最後に磨いて仕上げています。
ここはカーボン部とはまた違う作業です。
小さい傷ですが、見える場所なので気になります。
こういうところが整うと、全体の印象がかなり変わります。
シルバーの色が少し違う所は御愛嬌です。
8. 完成後の様子
途中経過の写真は全く残っていませんが、完成後の写真はたくさん撮りました。
せっかくなので、ご覧ください。
9. 高価な機材、でもそれだけじゃない
後に知ったのですが、このバトンホイール、新品だと45万円以上するんですね。
高価な機材だ。
そりゃあ、なんとか直したくもなります。
ただ、こういうものは値段だけではないと思っています。
乗り慣れた機材、思い入れのある機材、ここぞという時に使う機材。
そういうものは、単なる部品ではありません。
直せる状態なら、また走れるところまで戻してあげたい。
そう思いながら作業しました。
バトンホイールやディスクホイールの修理可否は、振れの有無や内部損傷の状態によって大きく変わります。